偶然の再会に戸惑って・・・

私は雑賀菜摘(さいかなつみ)と言って、都内の大学に通う二十二歳の娘です。

親が六つの頃早逝してから、ずっと祖父母の家に厄介になっていたんですが、私が大学で社会学の先生になりたい、と話した事をキッカケに、口論の末に家を飛び出す事になってしまいました。

祖父は昔堅気の人で、私を地元の大学に通わせる傍ら、良い人を見繕って嫁がせたいと考えていたようです。

一人上京して、東京の荒波に揉まれたことで、今までの生活がどれだけ祖父母の世話に依っていたかが分かったのは良かったのですが・・・戻って謝るのも気詰まりで、私は学費と家賃を自前で賄うために、奨学金の他、風俗業に手を伸ばしました。

 私は、風俗の中でも、デリバリーヘルスと呼ばれる男性を慰める仕事のアルバイトサイトに登録しました。

風俗アルバイトの事が、学校に露見すると、どんな不利益を被るか、想像が及ばなかったので、学校や下宿先からなるべく離れた、三鷹や武蔵野から依頼されるお客さんの元に駈けていました。

 その日は、ご新規のお客さんの依頼が一件あり、私は、授業が終わった夕方五時頃から、彼が暮らすアパートに向かいました。

彼の顔を見るなり、私は心臓が止まるかと思いました。

彼は、中学生の時分、私の事をずっと「貧乏だ」とか「不細工」だとか雑言で罵ってイジメていた、同級生の高木と言う男だったんです。

彼の顔を見た瞬間、私は瞠若し狼狽しました。

「あの・・・初めまして」と挨拶する声は、自分の耳で聞くと、変に高くて、その事に余計に焦りました。

翻って、彼の方は、私の反応に怪訝な表情を見せて首を傾げただけでした。

 風俗アルバイトの事は知り合いに絶対知られたく無いので、スプレータイプのヘアスプレーで髪は明るい栗色に染めているし、名前は「瑞穂」という源氏名で通しています。

気付いていないのかも知れません。

「はいって、どうぞ」

 高木は私を部屋の中に引き入れました。

私は小さく深呼吸してから、上着を脱ぎつつ、料金やプレイの説明をしました。

話の途中で、彼は私に「脱いでください」と言いました。

二時間という制限の中、興もへったくれもありませんが、「無駄な時間」を省きたがる客は、珍しくありません。

私がパンツとブラジャーだけの姿になったところで、高木は私に近付いて来ました。

・・・これから二時間、「している」最中に気付かれたら、どうしよう・・・?

こないだ、誰にあったと思う?

雑賀だよ。クラス一緒だった、雑賀

アイツさ・・・なんと、いまデリヘルやってるんだぜ!・・・

そんな風に言い触らされたりしたら・・・私の背筋に冷たいものが走りました。電気を消して貰おうかな。ちょっと初心っぽく振舞って・・・

「壁薄いんで、声は小さめにお願いしますね」

高木はそう言って、私の体に手を付けました。彼の息を、髪や頬に感じて、

「あの、キスは駄目なんです・・・」

と高木の唇を制しました。

「ああ、すみません」